車のバンパーやスポイラー等で使用されているFRPですが、擦ったりぶつけてしまうと割れてしまうことが多々あります。
そのような時は補修をするのですが、どのように補修すれば良いのでしょうか?
またFRPを使えば、一から自分好みの部品を作製することもできます。
今回はそんなFRPについて紹介していきます。
FRPとは
FRPとは、Fiber Reinforced Plastics(ファイバー・レインフォースド・プラスチック)の略で、繊維強化プラスチックのことです。
ガラス繊維やカーボン繊維等(カーボンが入っているタイプはCFRPと呼ぶこともあります。)と樹脂等を複合させた材料です。
FRPのメリット
FRPは軽くて丈夫なため、色々な分野で使用されています。
また金属と違い錆びないため耐食性にも優れています。
耐水性も高いため、船舶や車の外装等にも使用されています。
FRPのデメリット
FRPのデメリットとして、作業する時にガラス繊維が空気中に舞って、健康に影響するて点があります。そのためFRPを取り扱う際は、必ず適切なマスク等をするようにしましょう。
また直にFRPを触ると、ガラス繊維が肌に刺さってチクチクする場合もありますので、ニトリル手袋等を使用すると良いと思います。
一番のデメリットは【廃棄】です。
基本的にリサイクルが難しく、専門の産業廃棄物処理業者に依頼しなければいけないケースもあります。
FRP部品の補修方法
FRP部品の補修方法ですが、破損の状態で修理方法が異なってくる場合があります。
ですので今回は破損部品が残っている状態の補修方法を紹介します。
コチラは車のエアロパーツなのですが、割れて破損しています。
このように破損した部品が残っていると修理がしやすくなります。
部品が残っていなければ、無くなってしまった箇所を一から作製しなければなりません。
部品が残っている場合は基本的に裏側からFRPマットを貼り付けていきます。
FRPマットがしっかりと貼り付くように、塗装等をペーパーやサンダー等で落として、足付けをします。
足付けが終わったら、部品をアルミテープやガラスクロステープ等を使用し固定しておきます。(テープ等は部品の表に貼る等にします。こうすることで主剤が表面に流れ出ないようにできます。)
FRPマットの貼り方
FRP用の主剤を(専用の硬化剤を適切に混ぜ合わせておく)部品に塗布します。
その後にFRPマットを上に乗せていき、専用のローラー等で空気を抜いていきます。
これを部品にもよりますが、何層か重ねていきます。
しっかりと固定し、主剤が完全に乾燥すれば接着完了となります。
(FRPの繋ぎ合わせが完了しただけですので、この後に表面のパテや塗装をしなければいけません。)
硬化が完了後に、固定用に表に張り付けておいたアルミテープ等を剥がし、表面処理をしていきます。
修理のポイント
FRPの修理に関していくつかのポイントがあります。
- FRPマットを使用する分最初に切り出しておく
- 切り出したマットを少しほぐしておく
- 補修する部品をしっかりと固定しておく(クランプやアルミテープ等)
- 全て準備出来てから、主剤と硬化剤を混ぜ合わせる
主剤と硬化剤を混ぜ合わせたら硬化が始まってしまうため、できるだけ手早く作業するようにしましょう。
最初にFRPマットを使用する分を切り出しておくと作業がスムーズになります。
また、マットを少しほぐしておくことで、主剤が浸透しやすく、空気が入りにくくなります。(ローラーや刷毛等を使用して必ず空気を抜くようにしてください。空気が入ると、強度が下がってしまいます。)
部品の表側にアルミテープ等を貼っておくと、主剤が表面に流れ出して汚してしまう可能性を下げることができます。表面に流れ出てくると、表面の仕上げ工程に時間がかかってしまいますので、できるだけ注意しましょう。
FRPで部品製作
FRPを使えば、一から部品を作製することもできます。
今回は車のフロントバンパー用のエアロ部品を作製していきます。
まずは部品の型を作っていきます。
今回は小さな部品なので、段ボールを使用して型を作りました。
(今回は所謂オス型を作製しました。工業製品等大生産品ですとメス型が多く使用されます。)
段ボールにそのままFRPを貼り付けていくと、剥離できなくなってしまうため、養生テープを貼り付けて剥離しやすいようにしました。
(大きな部品ですと車の部品そのものを型に使用する時があります。その場合は剥離剤等を塗布しておきます。)
型が完成したらFRPマットを張り付けていきます。(先ほどの型とは違いますが、工程は同じです。)
この時に型よりも一回り大きくFRPマットを切り出しておくと仕上げの工程で失敗が少なくなります。
今回は3回FRPを重ねました。
乾燥して完全に硬化したら型から取り外し、余分な箇所をカットします。
ある程度余白を残しカットし終えたら、実際に取り付けるバンパーに合わせて調整します。
形を整えたらパテ等を使用し表面を仕上げていきます。
パテで表面を整え、サフェーサーを吹き付けました。
サフェーサーがなぜ必要かは、記事にしてありますので、よろしければ読んでいただけると幸いです。
最後に塗装をし、コンパウンド等で磨いて完成です。
取り付けステーを作って、実際に車に装着したものがコチラになります。
このようにFRPを使用すれば自分で部品を作ることもできます。
まとめ
FRPは軽量で丈夫な素材ですが、割れたり破損すると補修をしなければなりません。
またFRPは廃棄をするのに、特定の業者に委託等をするなどしなくてはいけません。
しかしFRPは割れても修復が可能であったり、自分の好みに合わせて作成できる等のメリットがあります。
FRP部品の修理のコツは【下準備】です。
あらかじめFRPマットを切り出しておいたり等をしておくと、主剤を塗布する時にスムーズに作業ができます。
主剤は硬化剤と混ぜると、反応がすぐに始まってしまうので、こういった準備が大切になってきます。
今回出てきた【パテ】や【サフェーサー】に関することも記事にしてあります。
よろしければそちらも合わせて読んでいただければ幸いです。
PRO HONPOではFRPに関する商品も取り扱っております!
コメント